最近Kindleで読んだおすすめしたい本 - 作家別 野尻抱介

SF作家の野尻抱介さん、南極点のピアピア動画については先月SF編で紹介してみましたが、ライトな切り口から入るんだけど、実は結構骨太という感じの展開がなかなか気に入りまして。
Kindleで出てるの、全部読んでみました。

基本的にはやっぱり前作を通じて、ラノベ的な、よく言えば親しみやすい、悪く言えば軽すぎるような文体で書かれていて、私的には読みやすく好感が持てました。
それでも扱っている内容は軌道エレベーターだったり、ファーストコンタクトだったり本格的。
SF的な裏付け(こじつけ?)も良くできていて、説得力があります。
説明も親切で、本格的なSFへの架け橋としてちょうど良いのでは無いかと思います。

まずは1つ読んでみて、気に入ったら他のものも手に取ってみるのが良いかなと。ハズレは無いと思います。
最初に読むなら、おすすめはやっぱりピアピア動画、もしくはふわふわの泉かな。
どちらも読後感良いです。


■ふわふわの泉

設定が笑っちゃうと言うか、ニヤニヤしちゃうんですけどね、でもなんとなく説得力があるというか、説得されちゃいたいというか。
主人公たちを応援したくなっちゃいます。
この作品、作者も後書きで書いてますが、かのアーサー・C・クラークの「楽園の泉」のオマージュになってます。
私は先に楽園の泉を読んでたので、その辺も楽しみましたが、なきゃないで気にせず楽しめます。
クラークの方はだいぶお堅い感じだからなぁ。でも名作ではあります。




■沈黙のフライバイ

短編集。
どれもSFハードSFな内容だけれども、親しみのわく登場人物で読ませてくれる。
野尻作品全体を通じて、舞台は極めて近い未来であり、技術的にさもありそうな展開を見せてくれるのだが、この短編集ではいろいろな近未来を描き、引き出しの多さを見せてくれる。


■太陽の簒奪者

ピアピア動画やふわふわの泉と比べて、この長編は少し雰囲気が重め。
クラーク的な雰囲気も醸し出している。
説明がいちいち分かりやすいので、SF初心者に優しいと思う。



全体的に野尻さん、クラーク大好きなんだろうなぁという感じが好ましい。
軌道エレベーターとか、人間の英知、宇宙に出たいという欲求を信じていて、アプローチの提案をしているという感じもある。
時代設定が常に近未来であるが故に、残念ながら何十年も残っていく作品では無いのだろうと思うが、今読んで楽しいSFだ。
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