今年のJリーグの競技規則適用、来年度のVARについて思うこと。
2019シーズンはほぼ終了しました。
プロの大きな大会としては残っているのは天皇杯だけかな?
今シーズンも競技規則についてはいろいろ思うところがありました。
ただ、僕、今シーズンは特に途中からみるのをやめてしまいました。
僕らのような審判員としては、競技規則がどう適用されるのか、審判員が判定を下すにあたりどのようなプロセスを踏んでいるのかというレビューはとても役に立つものです。
しかしここは一般のサポーターとはとても温度差のあるところ。
一般のあまり競技規則には詳しくないサポーターにとっては、自分のチームに不利だった判定に対して「あの判定は誤審だった」と謝る番組が見たいのではないか、と思ってしまったのです。
全員がそうとは思いませんけど、Twitterで「#Jリーグジャッジリプレイでとりあげて」のハッシュタグを見てみるとやはりそう感じます。
需要がそういう方向なので番組の中身としてもややそれを意識するところもあるのではないかと思います。
しかし、「誤審でした。ごめんなさい」に意味はないんです。
もちろん誤審はない方がいいのですけど、どうしても起こるものです。
僕ら審判員はそれが起きないように努力するし、起きてしまったプロセスを検討して再発を防ぐということにこそ意味があります。
また放送でも取り扱われたと思いますが、雰囲気や会場の大型ビジョンでのリプレイなどから「誤審っぽいな」と思ったとしても、判定を覆せないという状況すらありえるのですから、審判の仕事というのは難しいのです。
ジャッジリプレイに関しては判定の良し悪しではなく、なぜそうなったかを検討してほしいですね。
僕が一番印象に残っているのはルヴァンカップ決勝での谷口の退場なのですが、あれがレッドは厳しいという話は僕個人としてよく言われました。
僕の立場を最初に明示しておくと、あれはレッドで正しく、疑いの余地がないです。
感覚的にただ「厳しい」と言っているものは無視するとして、一理あると思うのは「あのレベルのファウルを一発退場にするのは競技規則に検討の余地があるのではないか」というもの。
これはジャッジリプレイにでている原さんも同じ考えだと思います。
谷口のファウルは、ボールに足が届く可能性がないため、ボールへのチャレンジではなく相手への妨害であり、ファウルです。
ただし接触がそれほど強くはなく、不用意ではあるものの無謀とまではいかないものなので、DOGSOに当てはまらなければ警告すら出ないものです。
それがDOGSOに該当するということで、いきなり退場に格上げされるという点が、不必要に重いのではないかと感じられるようです。
ジャッジリプレイを見ていると、これは多くの選手も共有している感覚だと思われます。
まぁその言い分は分からなくもないし、ではファウルの程度によって警告で済ますという競技規則改正はありえるかもしれません。
ただこれはバランスの話なんですね。
決定的な得点の機会の阻止を犯した場合、接触の強さなどとは別の基準で、PA外であれば退場となるのが現行の競技規則です。
これを、ファウルの接触程度などを考慮して、警告と退場を使い分けるようにするという競技規則に改訂することは不可能とは思えません。
ただしその場合、守備側競技者は、本当に危ないと思ったときに警告で済むような範囲でファウルを犯して何とかしのぐという選択肢を得ることになります。
要するにそのような状況において、守備側競技者が現状よりもやや有利になるわけです。
これをバランス的に良しとするかどうかなんですね。
僕の考えとしては、ファウルがなければかなりな確率で得点に結びついたであろうプレーに対してのファウルはやはり厳しく罰せられるべきものであると思います。
また、「警告までなら食らってでもファウルを犯して止めた方が得」という選択を残すことは、反スポーツ的な思考を助長することになります。
したがって、現在の競技規則のバランスは悪くないと思っています。
世界的な流れから言っても、VARの運用はだいぶこなれて、スムーズになってきました。
VARの判定にも文句を言う人はいますが、その多くは競技規則を理解していないだけなので、無視できるものです。
僕が一番難点だと思っているのは、VARは見えすぎること。
オフサイドやハンドリングの判定がかなり厳密になることですね。
人間の目で判断できないレベルまでも厳密にルールが適用されることによって違和感を生じるという意見は、理解はできます。
競技規則は人間が目で見ることを前提で作られてきた歴史がありますので、運用でぼかされていたOKとNGの境界線がくっきりしすぎることで違和感が出てしまうのですね。
さらに競技規則のここ2年くらいの改正もVARが入ることを踏まえたものになってきています。
この流れはもう止められないので、これからも競技規則の運用があらゆる局面で以前よりもクッキリ解像度が上がってくると思われます。
これは観る側が慣れていくしかないですね。
懸念点と思っていることは、今後の競技規則の改正で、VARありきみたいな方向に行きすぎないでほしいかな。
プロレベルはそれでもいいのですが、アマレベルの試合でVARが入るなんてことはちょっと想像できません。
プロのサッカーが人間の目で判定が難しいほどの厳密さを求める競技規則運用になりすぎてしまうと、アマチュアサッカーと乖離してしまう。
人間では運用できないことを求めるルールにはなってほしくないですね。
プロの大きな大会としては残っているのは天皇杯だけかな?
今シーズンも競技規則についてはいろいろ思うところがありました。
●ジャッジリプレイ
ジャッジリプレイという番組は、競技規則に関する関心を高めたという意味で非常に意味がありました。ただ、僕、今シーズンは特に途中からみるのをやめてしまいました。
僕らのような審判員としては、競技規則がどう適用されるのか、審判員が判定を下すにあたりどのようなプロセスを踏んでいるのかというレビューはとても役に立つものです。
しかしここは一般のサポーターとはとても温度差のあるところ。
一般のあまり競技規則には詳しくないサポーターにとっては、自分のチームに不利だった判定に対して「あの判定は誤審だった」と謝る番組が見たいのではないか、と思ってしまったのです。
全員がそうとは思いませんけど、Twitterで「#Jリーグジャッジリプレイでとりあげて」のハッシュタグを見てみるとやはりそう感じます。
需要がそういう方向なので番組の中身としてもややそれを意識するところもあるのではないかと思います。
しかし、「誤審でした。ごめんなさい」に意味はないんです。
もちろん誤審はない方がいいのですけど、どうしても起こるものです。
僕ら審判員はそれが起きないように努力するし、起きてしまったプロセスを検討して再発を防ぐということにこそ意味があります。
また放送でも取り扱われたと思いますが、雰囲気や会場の大型ビジョンでのリプレイなどから「誤審っぽいな」と思ったとしても、判定を覆せないという状況すらありえるのですから、審判の仕事というのは難しいのです。
ジャッジリプレイに関しては判定の良し悪しではなく、なぜそうなったかを検討してほしいですね。
●DOGSO
ジャッジリプレイのおかげで流行ったと思われるDOGSO、いわゆる「決定的な得点の機会の阻止」というやつ。僕が一番印象に残っているのはルヴァンカップ決勝での谷口の退場なのですが、あれがレッドは厳しいという話は僕個人としてよく言われました。
僕の立場を最初に明示しておくと、あれはレッドで正しく、疑いの余地がないです。
感覚的にただ「厳しい」と言っているものは無視するとして、一理あると思うのは「あのレベルのファウルを一発退場にするのは競技規則に検討の余地があるのではないか」というもの。
これはジャッジリプレイにでている原さんも同じ考えだと思います。
谷口のファウルは、ボールに足が届く可能性がないため、ボールへのチャレンジではなく相手への妨害であり、ファウルです。
ただし接触がそれほど強くはなく、不用意ではあるものの無謀とまではいかないものなので、DOGSOに当てはまらなければ警告すら出ないものです。
それがDOGSOに該当するということで、いきなり退場に格上げされるという点が、不必要に重いのではないかと感じられるようです。
ジャッジリプレイを見ていると、これは多くの選手も共有している感覚だと思われます。
まぁその言い分は分からなくもないし、ではファウルの程度によって警告で済ますという競技規則改正はありえるかもしれません。
ただこれはバランスの話なんですね。
決定的な得点の機会の阻止を犯した場合、接触の強さなどとは別の基準で、PA外であれば退場となるのが現行の競技規則です。
これを、ファウルの接触程度などを考慮して、警告と退場を使い分けるようにするという競技規則に改訂することは不可能とは思えません。
ただしその場合、守備側競技者は、本当に危ないと思ったときに警告で済むような範囲でファウルを犯して何とかしのぐという選択肢を得ることになります。
要するにそのような状況において、守備側競技者が現状よりもやや有利になるわけです。
これをバランス的に良しとするかどうかなんですね。
僕の考えとしては、ファウルがなければかなりな確率で得点に結びついたであろうプレーに対してのファウルはやはり厳しく罰せられるべきものであると思います。
また、「警告までなら食らってでもファウルを犯して止めた方が得」という選択を残すことは、反スポーツ的な思考を助長することになります。
したがって、現在の競技規則のバランスは悪くないと思っています。
●VAR
来シーズンからJリーグでも導入されるVAR。世界的な流れから言っても、VARの運用はだいぶこなれて、スムーズになってきました。
VARの判定にも文句を言う人はいますが、その多くは競技規則を理解していないだけなので、無視できるものです。
僕が一番難点だと思っているのは、VARは見えすぎること。
オフサイドやハンドリングの判定がかなり厳密になることですね。
人間の目で判断できないレベルまでも厳密にルールが適用されることによって違和感を生じるという意見は、理解はできます。
競技規則は人間が目で見ることを前提で作られてきた歴史がありますので、運用でぼかされていたOKとNGの境界線がくっきりしすぎることで違和感が出てしまうのですね。
さらに競技規則のここ2年くらいの改正もVARが入ることを踏まえたものになってきています。
この流れはもう止められないので、これからも競技規則の運用があらゆる局面で以前よりもクッキリ解像度が上がってくると思われます。
これは観る側が慣れていくしかないですね。
懸念点と思っていることは、今後の競技規則の改正で、VARありきみたいな方向に行きすぎないでほしいかな。
プロレベルはそれでもいいのですが、アマレベルの試合でVARが入るなんてことはちょっと想像できません。
プロのサッカーが人間の目で判定が難しいほどの厳密さを求める競技規則運用になりすぎてしまうと、アマチュアサッカーと乖離してしまう。
人間では運用できないことを求めるルールにはなってほしくないですね。
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