サッカールール改訂で、ハンドの基準が明確化。

サッカーのルールを策定しているIFABという団体が第133回となるミーティングを行い、いくつかのルール改訂が承認されました。

●ハンドについて

ハンドの基準を明確化することを決定。
たとえ意図的でなかったとしても、手を使って直接得点になってしまった場合や、得点につながった場合は反則となります。

また、ディフェンス時も含むものとしては、「自然なシルエット」を越えて伸ばされている腕に対して、たとえそれが意図的でなくてもハンドの反則が与えられるとなります。
身体には一定のシルエットがあり、それを越えてボールを防ぐように手が伸びている場合にハンドになるということで、今までのようにディフェンダーが手を体の後ろに回すことはない、と言いたいようです。

この「自然なシルエット」の解釈はちょっとわかりづらいかもしれませんが、実は今までの競技規則でも、ガイドラインには「不自然に伸びた手」はハンドと記載されていましたので、実はあまり変わりません。

・ディフェンダーが手を後ろに回す必要がない。
・意図的でなくても特定の状況ではハンドとなる。

この2点が公式に言及されたことが大事だと思います。
実際の運用についてはあまり変化が無いように思います。

●選手交代

選手交代の際、選手は最も近いラインから外に出ることになります。
今まではほとんどの場合、両チームベンチの間、第4の審判員が居るところで交代をおこなっていました。
交代時に選手同士が手をたたいたり、キャプテンマークを受け渡したりというシーンはサッカーでは毎試合流れる当たり前の光景ですが、今後これはなくなりますね。
これは時間の浪費を防ぐという意味になります。

これに従わなかった場合の罰則が気になりますね。イエローなのかな?


●チームスタッフへの警告・退場

チームスタッフも選手同様、警告(イエロー)、退場(レッド)の対象となります。
今までは退席の前がなかったのですが、イエローカードを出す方がはっきりと警告が出ていることが誰にもわかるので、これはわかりやすいですね。

●ゴールキック、守備側チームのペナルティエリア内でのフリーキック

ゴールキックと守備側チームが蹴るペナルティエリア内でのフリーキックは、ボールがペナルティエリアに出て初めてインプレーとなるのが従来のルールでした。
ペナルティエリアに出る前に、相手チームの選手がペナルティエリア内に侵入するか、自チームの選手が触った場合、または直接外に出なかった場合などは、キックのやり直しでした。

これがなくなるということは、おそらく蹴ってボールが動いたときにインプレーになるのだと思います。

これも時間稼ぎを防ぐためですね。
守備側チームが時間稼ぎをするためにわざとペナルティエリア内でボールに触れるようなプレーは何度か見たことがあります。

ただしこのキックの扱いは、キック力の弱い小学校低学年までのサッカーではちょっと悩みどころ。
キック力が弱くて外まで飛ばないことが多いから、すぐインプレーになるこの方法がイイという面もあれば、足の速い相手チームがゴールキックを奪って得点というシーンが増えてしまうかもしれないという懸念もあります。
ちょっと少年サッカーは荒れそうな予感がします。(^_^;)

●フリーキック時の壁

フリーキックの時に作られる、いわゆる壁。
壁というもの自体は競技規則上に用語として規定されていませんが、フリーキック時に攻撃側の選手は守備側の選手から1メートル以上離れる必要があるそうです。
攻撃側の選手が壁を邪魔するのを防ぎ、それを調整する時間も削減するという意図だとか。
フリーキックの戦術がかなり変化しそうです。

●PK時、ボールが動く前キーパーは片足だけライン上にあればよい。

以前のルール改正でPKの時、ボールが動く前にキーパーが前に出るとイエローカードが出るようになりました。
今回この部分が詳しく掘り下げられ、片足がライン上に残っていればよいと明文化されました。
まぁ、片足残して前に出るキーパーはいないと思いますけど。。。

●審判にボールが当たったらドロップボール

審判はフィールド上の石と同じ存在とよく言われており、ボールが当たってもそのままプレーが続くというルールになっていました。
これが、今度からは審判にボールが当たったらドロップボールとなります。
ドロップボールは通常、紳士協定としてその前のプレーでボールを保持していたチームに返すのがプロでは通例となっていますが、審判に当たった場合もそうするのでしょうねぇ。
あまりドロップボールで試合の流れが止まるのも面白くないと思いますけど。



こんな感じで、フリーキックの壁のルールはプレー自体の考え方に結構影響しそうかな。
それ以外では、交代のやり方だったり、観戦するうえで変わったなと感じる場面も多そうですね。

競技規則は毎年夏に新しいものに変わります。
それまでにはきちんとした条文として整理され、解釈についてももっと情報が出てくるかと思います。
コパアメリカやアフリカネーションズカップは新ルールが適用されるのではないでしょうか。
Jリーグも夏からルールが変わるのですが、第何節から適用されるかについては追って正式発表があるかと思います。

少年サッカーなどではこの辺はあいまいなので(というかこういうことの重要度を主催者が理解していない場合が多いので)、来年度夏以降は新旧どちらのルールが適用されるかは都度確認が必要です。

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