フロンターレの誤審騒動

2018/3/31の川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島の試合における、ジャッジが議論を呼んでいます。

■あらまし

0-1とアウェイ広島のリードで迎えた89分、川崎の長谷川達也のゴールに対して、広島の選手が抗議。
主審と副審が確認を行った後、遅れてオフサイドの判定となり、ゴールは取り消された。

しかし、これは明らかにオフサイドではありません。
なぜならボールに触った順番で言うと、川崎の車屋からマイナスのクロス→広島DF→広島GK→広島DF→川崎の長谷川だから。


更に言うと、途中川崎の小林が触ったように見える箇所があって、そこを勘違いしたとしても、さらに車屋がマイナスのクロスをあげたときに滑った広島の選手がずっとゴールライン近くに残っており、長谷川は最初からオフサイドポジションではない。
副審がきちんとオフサイドラインをキープしていれば発生し得ない誤審。

詳しくは下記動画で確認してください。



■問題点

「ジャッジの質」という点に議論がいきがちだし、もちろん審判の判定の技術力というのは高めて欲しいのですけど、今回の問題はもっと大きいところにあると思います。

1.一度旗をあげなかった(=オンサイドの判定を行った)のに、再度の確認を行ったという事
2.審判の判定が選手の抗議で覆ってしまったこと

ひとつずつ見ていきます。

■「旗をあげない」は何も判定していないのではなく、「オンサイドの判定をしている」

よく審判が笛を吹かなかったり手を上げなかったりすると、何もジャッジしていないような事を言う人が居ますが違います。
例えばファウルが疑われるシーンがあったとして、審判が笛を吹けばファウルと判定していますが、笛を吹かなかった場合は、ファウルでは無いという判定をしているのです。
オフサイドも同様で、旗をあげないのは基本的には、オンサイドと判定しているのです。
一度判定をしたのに確認に行くということ自体がおかしな事です。

正直、審判も人間ですから全てが見えているわけではなく、日々誤審は起こります。
しかし、それでも見えた範囲で判定したことについて、主審と副審が相談をして後から変えるというのは、ビデオで確認するなどのプロセスが無い限り、おかしな出来事です。

■審判は自分の目で見えた事実に基づいてジャッジすべき

先ほど、「旗を揚げないことはオンサイドと判定している」と書きましたが、実はもうひとパターン有ります。
それは「見えなかったので判定できない」という場合。
これも、プロの審判であればあの程度は見えて欲しいところですけど、見逃しは致し方ないところです。

しかし、審判は自分の目で見えた事実に基づいて判断すべきということから考えると、見えなかったら判定のしようがないわけで、オフサイドをとる根拠がありません。
それなのに今回は広島の選手の抗議に基づいて、証拠なくオフサイドと判定してしまったのは今シーズンワーストにもなりかねない重大な事件です。

試合中、選手が審判に抗議をすることはありますし、それに対する説明の責任は審判にあります。
ですが、見えなかったのなら、「見えませんでした。すみません。次から気をつけます」と言うしかないのが本当のところです。
選手もそう言われれば納得するしか有りません。
それ以上執拗に抗議してくる場合は、逆に抗議に対して警告が出ます。

今回、副審が見えなかった(明らかにオンサイドだったので、あえて見えなかったと断言する)出来事に対して、抗議を受け入れて判定を変えてしまった。
これでは今後、無理な抗議を助長します。

■今回の出来事は単なる誤審を大きく超える事件

審判の技量や能力の限界上、どうしても見えないことから起こる誤審はしかたのないものです。
ほとんどの誤審はこれに分類され、減るに越したことはないけれども、これについての謝罪は僕としては容易に受け入れられます。

今回の問題はそうではない。
審判が判定を行うに当たって当然とるべきスタンスが守られていないのです。
東条主審はベテランの審判員だそうです。
もしかしたら審判の有り様について、大きな誤解があるのではないでしょうか。

これは審判としての考え方の問題なので、技術の鍛錬で改善するものではありません。
審判が判断を下す基準についての誤解がとけないのなら、彼には引退して頂くしかないとすら思えます。


誤審に対して、正式に謝罪はあったようですが、再発防止に向けては原因を突き詰めるひつようがあります。
(あくまで突き詰めるのは原因であって犯人ではない。審判の判定のスタンスを全体で確認して欲しい)

まず、クラブとしては、判定が覆るに至ったプロセスの説明を求めるべきです。
なぜあの状況をオフサイドであると判定したのか。
いったんオフサイドでは無いと判定したものが、抗議で覆った理由は何か。

次にそれが審判の判定方法として正しいものかどうかを検証し、審判員全体で共通認識を持つよう求めていくべきです。

■まとめ

僕は一介の4級審判員ですので、技術も知識も1級には及びません。
当然誤審も多いはずです。
しかし、自分の目で見て判断するという点だけは揺るぎなく貫くべきだと思っています。

今回の事件は、そんな4級審判員から見ても失望しか有りません。
このようなことがトップリーグで続いてしまうと、あらゆるレベルでの試合において、審判員は選手・コーチ・ギャラリーから、敵対者として認識されてしまいます。

全てのサッカーに関わる人たちのためにも、詳細な報告を望みます。

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