副長向きなバルカン人。

スタートレックといえばバルカン人。

初代シリーズのスポック、ヴォイジャーのトゥボック、エンタープライズのトゥポル、そしてディスカバリーのバーナム。
まぁ、バーナムは「バルカン人に育てられた、バルカン流な発想を持つ人間」ですけどね。

また、トゥボックは保安部長で艦内ではナンバー3でしたが、艦隊士官とマキというレジスタンス組織の混成となったヴォイジャーでのバランスの都合上、元マキの艦長だったチャコティを副長にしたためで、それ以前は艦長の右腕といえる存在でした。

■バルカン人はトップ向きじゃ無い?

バルカン人の特徴と言えば、徹底的なロジック重視。
感情を抑制することで内部の争いを解消し発展してきた種族ですので、常に感情を排除し論理的に考えることを幼少期からたたき込まれます。

いわゆる正論って奴ですね。
正論っていうのは、正しいんだろうけど、そればかりを言われるとイラッとくるという面があると思います。
だからトップに立って部下を魅了し、この人のためにがんばりたいと思うという人物像にはあまり当てはまらないような感じです。

ついでに言うと、スタートレックでの艦長というと、カークもピカードも冒険者で有り、時には論理を超えて人を引っぱっていきます。
未知のものに好奇心を持って探索を行うという宇宙艦隊の性質と、バルカン人の気質は相容れない部分があるのですよね。
そもそも彼らは好奇心に駆られるということがありませんので。

■補佐としては有用

逆に、グイグイ情熱で突き進むトップに対する補佐役としてはうってつけです。
何かの方針を検討するに当たっては、様々な視点からの意見が必要で、ナンバー2という立場から常に客観的で冷静な批評ができるのがバルカン人です。
まぁ、だいたい却下されるんですけど。(笑)

また、そういった若干イラッとくる正論を超えて、情熱にリードする艦長の魅力が引き立つという面もありますね。

新スタートレックでは副長は人類のライカー中佐で、この点ではちょっと組織としての魅力が薄かったかなと思ってます。
ナンバー3のデータ少佐はアンドロイドで、論理的な思考を持っていますが、バルカン人ほど嫌みではなく、クセが足りないかな、と。

■バルカン人って人類が大好きなのでは?

バルカン人は元々は感情も豊かに表現していた種族で、論理を重視するようになったのは意図的に選択したものです。
実は抑制しているだけで感情を失っているわけではなく、人類の痴呆に似た病気で、特に高齢になると感情が抑制できなくなるという症状がでることがあります。

以下は個人的な想像です。
バルカン人は論理を重視することで高度な文明を築いているという自負があるはずで、人類と出会ったときには確実に下に見ていたはずですが、人類の飽くなき好奇心が成し遂げる急速な進歩や探索の成果に、ある意味、憧憬のようなものを感じたのでは無いでしょうか。
もし自分たちが感情をプラスに利用できていたら、この新しい友人のようにより速いスピードでの進歩を遂げられたのでは無いかと。

また個人レベルであっても、スポックやトゥボックは、論理を超えた大胆な決断で状況を打開していく艦長を尊敬しているようです。
自分が艦長の立場になったとしても、そのような大胆な判断が出来ないと分かっているからでしょうね。

■艦隊の中でのバルカン人

とはいえ、バルカン人の艦長も存在します。
人物像が分かるほど登場しないのが残念ですが、バルカン人の中でも比較的柔軟な考えができる人も居るのかもしれません。

サレクやスポックは大使として活躍しますが、論理的で常に冷静な彼らは、種族間の交渉役に向いているのかもしれません。

それと、新スタートレックでは、艦隊内での裁判官的な役職のバルカン人提督が登場します。
これは彼らには転職でしょうね。


スタートレックは基本的には異文化コミュニケーションのストーリーなので、内部で分かりやすく正論を唱えるバルカン人は、良いアクセントになっていると思います。

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