FAカップ マンチェスターシティ対バーンリー(2018/1/6)のフリーキックについて

久しぶりにサッカーの競技規則の話を書いてみたいと思います。

まずどんなシーンか確認してみます。
こちらのハイライト動画の0:37からを見てみてください。



マンチェスターシティがフリーキックを獲得しました。
ボールの近くにはギュンドアンがいて、バーンリーの選手が一人近くに残っています。
主審が距離を取るように指示してその選手はゆっくり離れましたが、離れきる前に隙を突いてギュンドアンがキック。
アグエロがフリーで受けて流し込みました。

試合後、ギュンドアンはこのシーンについて以下のように話しています。

[イルカイ・ギュンドアン/公式サイトより抜粋]
フリーキックで、審判は僕に待つように言わなかったから、セルヒオ(アグエロ)とアイコンタクトをして,彼がこういうシチュエーションを利用するのが好きだと知っていたので、すばやくプレーしたんだ。

目が合ってすぐ、彼が走ると確信したのでパスをして、認められて良かったね。
僕はあれが正しかったと思う。
僕らがすばやく対応したというだけのことだ。

このようなシーンでは、多くの場合、審判はキッカーに、笛を待ってリスタートするように伝えます。
JFAの公式サイトに掲載されている、2017/18競技規則のガイドライン部分に以下の記載があります。

P186

次の場合には、笛を吹くことが必要である。
(中略)
●次の場合にプレーを再開するとき:
・規定の距離を下げたときのフリーキック
(以下略)
一般的に、いわゆる「壁」の位置を下げる場合、必ず笛の合図でリスタートします。
ゴールから遠い場所などでは壁を作らないのですが、守備側の選手が、味方の陣形を整える時間を稼ぐため、ボールの近くに立つことがあります。
正直、審判の立場からしてあまり好きな行為ではありませんが、まぁよく見る光景です。
攻撃側はそれでも支障が無ければリスタートすることもできますし、審判にアピールして離れるように注意してもらうこともあります。
審判が独自の判断で言う場合もあります。

ゴールから遠い場合はそういう注意をしても笛でリスタートしないことが多いですね。
得点に直結しないからではないかと思います。
個人的な審判の感覚からすると、距離をきっちり取るというよりも、時間稼ぎをやめさせるというような認識が僕にもあります。

今回、バーンリーの選手は、距離を調整したので笛でリスタートすると思ったのでしょう。
しかしギュンドアンは特に言われなかったのでやってみた。
そして審判はそのプレーを認めた。

僕はこれは審判に問題があると思いますね。
あのリスタートは認めるべきではないと思います。
多分、割と軽い感じで「近いから離れてくださいね~」とやってたら、思いがけず再開されてちょっと驚いたのではないでしょうか。
結果論で言えばその時点で笛で止めて、やり直しをさせた方が良かったでしょう。

とはいえ、攻める側としてやってみても損がないプレーなので、ギュンドアンとアグエロの集中力の勝利というところでしょうか。
バーンリーとしては抗議は後でするとしても、クイックリスタートへの対応は常に準備しておくべきでした。

■まとめ

・あそこまでゴールに近い場所なので、距離を取らせたことをうけ、審判は笛でリスタートを明示すべきだったと思う。
・予めのリスタートの指示を行っていなかったとしても、ギュンドアンのキック後に笛を吹き、やり直させるべきだったと思う。
・バーンリーは一応、クイックリスタートに準備しておくべきだったと思う。
・ダメ元でもやってみたギュンドアンとアグエロの試みは良かった。

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