ディープスペースナイン奪還作戦前編・後編(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP6-5、EP6-6)

いよいよドミニオンとの戦いが一区切りする、スタートレックDS9シーズン6エピソード5と6です。

(以下、ネタバレ含む)

■あらすじ
フェデレーション艦隊は局地戦では勝利する部分もあるが、全体的には撤退の連続だった。
敗戦ムードに士気も低下している。
シスコは状況を打開するため、大部隊を投入してディープスペースナインを奪還する作戦を具申した。
提督たちは賭けにも思えるその作戦に難色を示したが、ディープスペースナインこそアルファ宇宙域とガンマ宇宙域をつなぐ要衝であるというシスコの説得に、作戦を了承した。


テラック・ノアでは、オドーはますます可変種よりになり、ロムを助けようとするキラやクワークとは会ってもくれなくなっていた。
クワークとリータはロムに面会したが、ロムは自分を救出するよりも、機雷除去の妨害工作を代わりにやってほしいと頼むのだった。

キラはウェイユンとロムの件について交渉しようとするが、取り付く島もない。
ジヤルに、デュカットと話してもらうように頼んだが、デュカットはジヤルの頼みでも、ロムを解放することはなかった。

クワークはダマールから、機雷除去の方法がみつかり、1週間後に実行されるという情報を得た。
それを聞いたキラたちだが、自分たちだけでは妨害は無理だと判断し、秘密裏にシスコに情報を伝えることにした。


シスコは奪還作戦にクリンゴンにも参加してもらうよう、ガウロンの説得をマートクとウォーフに依頼していた。
しかし、機雷除去が差し迫っているという情報を得て、クリンゴン艦隊どころかフェデレーション艦隊すらそろう前に作戦を強行せざるを得なくなった。
フェデレーション艦隊の中には、万全ではなく、故障のため途中で離脱する艦もあった。
そしてついにドミニオン・カーデシア艦隊と接触する。
その数は1200隻をこえ、フェデレーション艦隊の倍だった。

とにかく機雷が除去される前にディープスペースナインにたどり着かなくてはならない。
数で劣るシスコはカーデシア艦を集中的に攻撃して食いつかせ相手の陣形を乱し、生じた穴を抜けるという戦法をとった。


巧妙な作戦ではあったがデュカットは上を言っていた。
シスコの目論見がみえているデュカットは容易に食いつかない。
一方で、部下のダマールの進言により、破壊工作防止のため、キラ、ジェイク、リータを拘束しておくことにした。

度重なるフェデレーションの攻撃にも陣形を崩さなかったデュカットだが、シスコの狙いを逆手に取るべく、故意に一部の陣形を崩した。


陣形の崩れをみたシスコたち。
おそらく罠であろう事は把握したがここに活路を見いだすしかない。
無理は承知の上、旗艦ディファイアントを中心とした部隊が突破を計る。
護衛の宇宙船も落とされ単騎で進むディファイアントだが、執拗に追われ、遮蔽装置も故障してしまっている。
まさに危機一髪のその時、ウォーフの率いるクリンゴン艦隊が援護に現れた。
戦線の突破に成功したディファイアントは最高速度でディープスペースナインに進路を取った。


ロム、キラ、ジェイク、リータが拘束されている。
そこにクワークとジヤルが現れた。
クワークはジェムハダーの2人を倒し、4人を救出した。
機雷破壊の妨害のため、タイムリミットが迫る中、ロムはメインコンピュータの電源を切るために、キラとコアに向かった。

しかしすぐにジェムハダーに囲まれてしまう。
もはやこれまでかと思った2人を救ったのはオドー率いるベイジョー人の保安部員だった。


メインの戦場はクリンゴン艦隊が加わったことでバランスが崩れ、ドミニオン・カーデシア艦隊がやや不利になっていた。
しかし、機雷除去にさえ成功すれば、大量の援軍が期待できる。
いよいよ準備がととのい、デュカットの命令で機雷が除去された。

ロムのメインコンピュータのシャットダウンは、タッチの差で間に合わなかった。

たった1隻でディープスペースナインに到着したディファイアントも、機雷が除去されるのを見た。
シスコは一矢を報いるため、ワームホールに向かう。

ダマールはテラック・ノアから攻撃をしようとするが、ロムの妨害がここで活き、武器が使えない。
ディファイアントはワームホールに入ることができた。


シスコはワームホールの中で予言者と出会った。
予言者はシスコが命を捨ててドミニオンと対峙することが理解できないらしい。
また、物質世界の出来事には関わらないスタンスだ。
しかし、それではベイジョーが破壊されてしまうというシスコの言葉に、ドミニオン艦隊を消し去って見せた。


テラック・ノアでは退去が始まっていた。
ジヤルを探すデュカット。
やっと見つけるが、キラを逃がしたのがジヤルの仕業だと知る。
しかもそれを聞いたダマールがジヤルを撃ち、そのまま息を引き取った。

フェデレーション艦隊はディープスペースナインを奪還し、デュカットは捕虜となった。


■感想
まず一番の見どころは艦隊戦ですね。
スタートレックシリーズの基本は探索であって、あまり大きい戦いの描写はでてきません。
もちろん撮影技術とか予算の関係もあるでしょうね。

これより前のテレビシリーズだと、新スタートレックでボーグと戦った「ウォルフ359の戦い」が大きい戦闘です。
ウォルフ359の戦いにはシスコも参戦していて、奥さんが亡くなっています。
ディープスペースナインの冒頭で描かれます。

しかしこの戦いは映像的には、たくさんの戦艦が飛び交うようなシーンよりも、各艦のブリッジなどのシーンを中心に構成されていました。

今回は600隻あまりのフェデレーション艦が参戦したということで全体象こそみえないものの、ディファイアントを中心に、エンタープライズと同型のギャラクシー級も多数映っていてより迫力ある戦闘シーンになっていますね。

元々、第2・第5・第9艦隊とクリンゴン艦隊が参戦する予定でした。
第9艦隊とクリンゴン艦隊が出撃に間に合っていないことは確かですので、おそらく第2と第5だけで出撃したものと思われます。
フェデレーション艦隊は1部隊で300隻くらいの規模なのでしょうか。
クリンゴン艦隊も同規模だと考えると、本来は敵と同数程度の数をそろえる予定だったようです。
ただ、クリンゴン艦隊の援軍が到着してからは形勢有利になっていることから、数が同じならフェデレーション優位であるようですね。


おそらく、参戦したドミニオン・カーデシア側の艦隊は壊滅状態、フェデレーション側も初動で数的不利だったこともあり相当の犠牲が出たと思われます。
この後しばらく大きな戦いの雰囲気からは遠ざかりますが、双方ともまずは戦力を立て直す必要があるほどの被害が出たのではないでしょうか。


また、描写はありませんが、シスコがこの後まずやったことは、機雷の再設置では無いかと思われます。
いったんガンマ宇宙域の援軍も全て排除しましたが、ホワイトの補給も含め、ここの兵站は切っておかないと勢力のバランスが保てないでしょう。

(訂正)
どうやら、ワームホールの預言者がドミニオンの援軍を消し去ったということはドミニオン側にも広く知れ渡っているようで、ワームホールはベイジョーに友好的な勢力しか使えないと認識されているようです。
預言者が必ずドミニオンの通行を阻害するという保証もないですけど、スタンスが明らかである以上、リスクを冒して大軍を通すことはできないでしょうね。
また、これ以降も戦場も含めて部隊はアルファ宇宙域に限られてきており、シスコたちがガンマ宇宙域に出かける描写もありません。
敵ばかりのところに戦いに行ってもしかたないし、探索ミッションを行う余裕もありませんからね。
「ケイコのために(シーズン5・EP5)」でパー・レイスが試みたように、ワームホールを維持したまま預言者のみを攻撃する手段は存在するようです。
アルファ宇宙域のドミニオンはそれを知っていても、DS9が守っている以上実行はできないのでしょう。
ガンマ宇宙域のドミニオンには伝わっていないと考えるのが妥当っぽいです。


追い出されてから取り戻すまでの一連のエピソードの集大成だけあって、見応えのあるストーリーと映像でした。

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