洞窟の密約(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP6-2)

スタートレックDS9シーズン6のエピソード2です。

前回は、シスコたちが鹵獲したジェム・ハダーの戦艦でカーデシアに潜入し、ジェム・ハダーの生命線であるケトラセル・ホワイト貯蔵施設を襲ったものの、爆発に巻き込まれ、ワープ航法が使えなくなるところで終わりました。

(以下、ネタバレ含む)

■あらすじ
ワープ無しではフェデレーション領内に帰り着くのに膨大な時間がかかってしまう。
しかし考える暇も無く、複数の敵艦が出現。
仕方なく未知の星雲に逃げこむことを選択。
攻撃を受けダックスが負傷するも、なんとか敵艦を振り切ることができた。
しかし、突如近くに現れた惑星の重力場から逃げられずに、シスコたちの乗った艦は墜落した。

クルーはなんとか脱出し、惑星の海辺にたどり着く。

この惑星には先客がいた。
少し前に、同様にドミニオンの戦艦が一隻墜落していたのだった。
ジェム・ハダーの隊長(ファースト)と副隊長(セカンド)は死亡しており、ボルタも瀕死の重傷を負っていた。
ジェム・ハダーたちは通信機の修理を試みているが、10日ほどはかかる見込みだった。
手持ちのケトラセル・ホワイトも少なくなっており、彼らもまた危機に瀕していた。

キャンプ近くの調査に出たガラックとノーグは、そのジェム・ハダーと遭遇して捉えられてしまう。
彼らをみて近くにフェデレーションの部隊がいることを知ったボルタは、部下に命じて、2人の捕虜を、シスコとベシアと交換させる。

ベシアの治療を受け、一命をとりとめたボルタは、シスコに対して取引を持ちかける。

手持ちのケトラセル・ホワイトが無くなるとボルタでもジェム・ハダーを制御できなくなる。結果、ジェム・ハダーは暴走し、シスコたちはおろかボルタも殺されてしまう。
それを防ぐため、ボルタはシスコに予め作戦をばらした上で、ジェム・ハダーに攻撃を命じ、シスコたちを使ってジェム・ハダーを始末しようと考えた。
見返りに通信機をやる、というのだ。
シスコに選択肢は無かったが、自分が助かるために部下を見捨てる作戦に気分が悪くなる。

作戦当日。
シスコは戦場で、ジェム・ハダーと最後の対話を試みる。
ボルタの裏切り行為を明かして停戦を呼びかけるが、ジェム・ハダーたちの気持ちを変えることはできなかった。
戦闘の末、犠牲を出しながらも有利な布陣で挑んだシスコたちは勝利した。


■感想
今回も大きくはドミニオンの倫理観が見どころかと思います。
何度かジェム・ハダーやボルタと交渉や共同作戦の経験を持つシスコは少しずつ彼らを理解し始めていますが、それでもやはり、根底の考え方が違いすぎてうまくいきません。
今回のサードは比較的ボルタに対して反抗的ではあるものの、結局はシスコに賛同することはありませんでした。

ジェム・ハダーは命令を遂行することにかけては類を見ない優秀な種族ですね。
シスコたちにとっては交渉の余地のない手強い相手でもあります。
また、ボルタの方は交渉が専門なだけに、非常に狡猾です。
この辺の違いがこれからのストーリーでも大事になってくるのでしょう。

今回ボルタが最後に持ちかけてきた、部下を切って自分が生きるという取引ですが、客観的に考えて、最良かも知れません。
ホワイトがなくなると精神的に制御が効かなくなり最終的には死に至ることは、ジェム・ハダーたち自身も知っていることですので、もし無くなる前に脱出ができ無かった場合、ボルタを守ろうと思うなら、意識のはっきりしている内に自決するしかありません。

ジェム・ハダーたちにはその覚悟が最初からあったかもしれませんが、ボルタはそこに確信を持てない訳ですね。
シスコたちをうまく使おうという考えは、ジェム・ハダーには感づかれていたようで、それでも作戦に従ったのは命令が絶対であること以外にも、それが最善かも知れないという判断もあったように思えます。

いずれにしても、シスコはじめ、アルファ宇宙域では一般的に受け入れがたい考え方のようです。

一方DS9でも、実質的な再占領に対抗する機運が見えてきます。
暴動が起これば犠牲者が出るのが避けられませんのでキラはなんとかおさえようとしますが、ヴェデクの1人が公の場で自殺をすることで抵抗の意志を示すという事件が起こってしまいます。
これをきっかけにキラとオドーも行動を起こすようです。
ベイジョー人はカーデシア人に長年抵抗活動をしてきた歴史が有り、レジスタンス活動を得意とする種族ですので、こちらも激しくなりそうです。

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