神の船(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP5-2)

スタートレックDS9シーズン5のエピソード2です。

ドミニオンとの交渉の駆け引きとなんとも後味の悪いその結末が見どころですね。

(以下、ネタバレ含む)

■あらすじ
ガンマ宇宙域の無人惑星でシスコ、ウォーフ、ダックス、オブライエン他数名のクルーが地質調査を実施していると、突然1隻の宇宙船が墜落してきた。
急いで転送し調査に向かうと、それはジェム・ハダーの船だった。

船内に生き残りはいなかった。
シスコはこのジェム・ハダー船を持ち帰り分析するため、ディープスペースナインにディファイアントを要請する。

しかしディファイアントが到着する前にジェム・ハダーの新手が先に現れた。
軌道上で待機していたランナバウトはジェム・ハダーに撃墜されてしまい、シスコは留守を守っていたクルーを失う。
さらに地上に現れたジェム・ハダーに攻撃され、死者を出してしまった。
また、オブライエンの部下ムニスも腹に深い傷を負ってしまった。

シスコたちは墜落していたジェム・ハダー船に籠城をする。
ディファイアントが到着するにはあと2日半。
オブライエンは墜落したジェム・ハダー船をなんとか修理して動かし、脱出しようと試みるが、システムが全く違うためうまくいかない。

そうするうちに、追跡部隊のボルタから交渉があった。
墜落船を返せば、シスコらクルーを無傷でDS9に送るというのだ。
シスコは墜落船を返すつもりはないし、そもそも相手を信頼できないので申し出を断る。
そのとき、墜落船から連絡が入った。
交渉の裏で、ジェム・ハダーが墜落船に転送で乗り込み攻撃を仕掛けていたのだ。
交渉は決裂し、それぞれ自分の船に戻るシスコとボルタ。

どうやら一人で潜入してきたらしいジェム・ハダーは善戦するも、ムニスに撃たれて倒れた。

再びボルタから連絡が入る。
再度の交渉でボルタから出された条件は、墜落船内にある「あるもの」を運び出させてくれれば船もやる、というものだった。
しかしもはや相手を信用できないシスコはこれも拒否。
もはや交渉不能な領域に達していた。

墜落船に籠城するシスコたち。
追跡部隊は砲撃をしてきているが、墜落船にある「あるもの」がよほど大切なようで、直接当ててはこない。
それでも長く続く攻撃はシスコたちに精神的なダメージを与えていた。
瀕死のムニスを励ますオブライエンは、もはや助からないのだから名誉ある死をさせてやるべきだと主張するウォーフと対立。
ストレスは高まっていった。

ついにオブライエンは墜落船の修理を終えた。
しかし、起動を試みた船はすぐに不安定になり、パワーを切らなかければ壊れてしまう。
墜落船で脱出する希望は失われ、ディファイアントをまつのみとなった。
そしてムニスは絶命していた。

そして、追跡部隊がさがしていたものが明らかになる。
ダックスが壁の一部が変形していることに気づいた。
可変種が乗っていたのだ。
可変種は弱り、形を保てなくなったようで、溶けだしてくる。
そして、息絶えた。

その直後、追跡部隊からの砲撃が止み、再びボルタが現れた。
創設者を守れなかったため、ジェム・ハダーたちは自決したという。
ボルタは、彼女らは創設者を返してもらいたいだけだった、それがかなえばどんな条件も飲んだ、と言った。
その言葉に、お互いを信じられなかったシスコは部下をみすみす死なせてしまったことを嘆く。
ボルタは創設者の遺体を持ち帰り、シスコたちはジェム・ハダーの船を持ち帰った。

■感想
今回初めて出てきて、名前のある部下たち。
最初から死亡フラグが立ちまくっているわけですが、今回はたくさんの命が失われてしまいました。
5人の命を失ったことを嘆くシスコに、500万人の命を救ったと慰めるダックス。
まぁ、こういうのは戦争ものではよくあるテーマですけれども、やっぱり心打たれます。

作戦中はストレスもあって反目していたオブライエンとウォーフも、DS9に帰ってからは2人でムニスの遺体を守ります。
ウォーフの、もう助からないと分かっているものに不要な希望を与えずに尊厳させるという考えもわからないものではありません。
いろいろな文化・考え方をシナリオに盛り込もうとしているDS9らしい展開ではあります。

また、ボルタ(ジェム・ハダーを管理するために創設者に作られた異星人で、ドミニオンの一員)とシスコの交渉も、基本的な考えの違いからお互いの信頼感が築けずに失敗に終わってしまいました。
シスコは交渉に長けた司令官だと思いますが、ドミニオンに対してはやはり根本的な敵対心が大きいのでしょうね。

さて、墜落したジェム・ハダー船について。
ジェム・ハダーの船は、どうやら乗組員が外を見ることができないようです。
一般兵士は行き先を知る必要がないというか、知られたくないというか。
外を見られるデバイスは2つだけあり、ジェム・ハダーの隊長と部隊を管理するボルタだけが使えるようです。
ドミニオンの軍隊は戦闘目的に種族レベルで作られた人造のものですので、このような管理も当然でしょう。

しかし一方で、ドミニオン内での創設者の支配権というものは、意外と盤石ではないこともにおわされています。
同じジェム・ハダーでも創設者を神のごとくあがめるものもあれば、反乱を起こす部隊もあり、権限を絞るのは反乱を防ぐ意味もあるかもしれませんね。

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