殺戮者のナイフは子羊の悲鳴など気にかけない(スタートレックディスカバリー レビュー / EP1-4)

スタートレック ディスカバリー シーズン1のエピソード4です。

囚人から一転、ディスカバリーに迎えられることになったマイケル・バーナム。
謎めいたロルカ艦長はいったい何を企んでいるのか、気になりますね。

※タイトルが「兵器に心は必要ない」から「殺戮者のナイフは子羊の悲鳴など気にかけない」に変更になったようです。


(以下、ネタバレ含む)

■あらすじ
科学士官として、ランク無しで配属されたバーナムは、ロルカ艦長がUSSグレンから回収した謎の生物と対面する。
ロルカからのミッションはこの生物から兵器を作るようにというもので、保安部長のランドリー中佐と共同で研究に当たることとなった。
バーナムは謎の生物が地球のクマムシに似ていることに気づき興味を深めていくが、純粋な兵器としての利用以外の研究への脱線を懸念するランドリーと方針が合わない。

ロルカのもとに、コルバンがクリンゴンに襲われているという情報が入る。
コルバンはフェデレーション全体のダイリチウム採掘量の40%を生産する惑星で、ここが落とされるとフェデレーション艦隊の動きが大きく制限されてしまう。
提督に、ディスカバリーが胞子ドライブを使えるなら救援に間に合うが使用可能かと問われ、うなずくロルカ。

ロルカはスタメッツに胞子ドライブを長距離で使うよう命じるが、スタメッツは難色を示す。
USSグレンから回収した機器は、長距離の胞子ドライブでの移動を可能にしていたようだが、全てが揃っていなかったようだ。
しかし人命救助は一刻を争う状態なため、強行する。
胞子ドライブでのワープは失敗し、目的地とは違う場所に移動してしまった。

未知の生物の研究で成果を急ぐランドリーは謎の生物から直接ツメを切り取り、兵器利用しようとする。
しかしガスもフェイザーも効果がない謎の生物は研究室内で暴れ、ランドリーは死亡してしまう。

バーナムは、謎の生物の暴走はあくまで自衛のための本能で有り、本来は攻撃的ではないという仮説を確かめるため、サルーを呼び出した。
補食される種族から進化したため、危機を察知する能力が高いサルーは、謎の生物を前にしても反応しなかったため、バーナムは自分の仮説に自信を持つ。
さらに未知の生物は胞子ドライブに使用する胞子をエサとしていることを発見した。
スタメッツにも報告し、未知の生物が胞子ドライブに欠かせない航路の計算を行うスーパーコンピュータの役割を果たしていたことが分かった。

見事胞子ドライブでのワープを成功させたUSSディスカバリーは、コルバンのクリンゴン部隊を殲滅した。

一方、トゥクグマの後継者のヴォークは、連星の戦いで動けなくなった戦艦に、部下と共に未だに閉じ込められていた。
数ヶ月がたち食料もつき、絶体絶命ではあったが、修理のために同じく航行不能になっているUSSシェンジョウのダイリチウムを使うことは、汚れたことだと考え、拒否していた。
しかしそれ以外に助かる道がないため、USSシェンジョウからダイリチウムを調達する。
ところがヴォークが留守にしている間に、コルがヴォークの部下たちに食料を分け与え、味方に付けていた。
見捨てられたヴォークはルレルとともにUSSシェンジョウに置き去りにされてしまった。

■感想
いよいよ胞子ドライブが発動しました。
エピソード3「今すべきこと」でマイケルたちを襲った怪物は、USSグレンの実験で生体コンピュータとして使われていたということが判明します。
この生き物はどうやら胞子ドライブに使う胞子をエサにしているようで、その嗅覚からなのか、胞子のネットワークを読み取り、航路を計算する能力があるのですね。
グレンが長距離の航行に成功していた秘密はこれでした。

気になるのは、スタメッツの同僚がこれを秘密にしていたことですね。
ライバル心もあるかもしれないけど、未完成で危険だからかもしれません。
実際グレンでは事故が起こりましたので、まだトラブルはありそうです。

注目ポイントは、意外と熱いロルカですね。
登場からして「なんか嫌な奴」という感じですが、スターフリートの艦長はダテじゃありません。
襲われている鉱山を救うためには未完成と分かっていても胞子ドライブを使わせる熱さはあります。

また、スタメッツも、元は研究のために軍を利用した訳で、戦争はしたくないという考えですが、一方的に襲われている民間人を救出したいという想いは同じようです。

今回特にフィーチャーされた、ダイリチウムというのは、スタートレックの架空の鉱物で、ダイリチウムの結晶はワープドライブに不可欠です。
光速以上の速度を出す航法をワープドライブといって、光速と同じワープ1(ワープファクター1)から光速の1000倍以上にもなるワープ8など、恒星間航行をするには欠かせない航法です。
※スタートレックでも時代によって速度の換算や最高速度が違います。とはいえ、ストーリーを楽しむ上ではだいたい、数字が大きい方が速いんだな、くらいの理解でOK。

ワープ8だと1光年離れていても3日程度で到着できる計算でしょうか。
速いけど、私たちの銀河系は直径が10万光年ほどあるらしいので、それでも端から端までは行けませんね。
スタートレックはもともとは、未知の宇宙を探検する話ですが、ワープ航法が普通に使われる時代になっても、まだまだ到達できないフロンティアがあることが分かりますね。

そして今回発動した胞子ドライブは、ほぼ一瞬でどこにでも到達できるということで、根本的にワープドライブと発想が違いますし、本格的に実用化するならスタートレックの時代であっても世界を根底から変える技術と言えますね。

しかしセリフの中で、「既知のどんなところにも一瞬で行ける」と言っているように、今まで言ったことの無い場所には行けません。
・・・ルーラか?(笑)

これは、今回のエピソードでも分かるとおり、未知の場所に行ってしまうといきなり恒星やブラックホールなど、危険な場所につっこんでしまう可能性があるからでしょう。
遠くから観測して何も無さそうでも、光年レベルの距離があると、光学の観測では情報が古すぎます。
スタートレック世界では一瞬で数光年以内に敵がいるかどうか索敵するすべがあるようですが、それでも正確性や範囲の問題で、結局未知の遠い場所には胞子ドライブは使えないと考えて良さそうです。

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