星に死の満つる時(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP4-23)

スタートレックDS9シーズン4のエピソード23。

今回はドクター・ベシアが活躍する話です。
活躍できたのかどうかは分かりませんが。

(以下、ネタバレ含む)

■あらすじ
ガンマ宇宙域を調査中に救難信号をキャッチしたキラ、ダックス、ベシアは発信元の惑星に降り立つ。
その惑星は荒れ果てており、人々も豊かな生活をしているようには見えなかった。
顔中に赤い傷のある女性が、苦しみながら出てくる。
ベシアは痛み止めを施し、女性の頼みに従い病院に連れて行くことにした。

しかし、そこは病院とは名ばかり、治療ではなく安楽死を行う施設だった。
この惑星はかつてはフェデレーションのように栄えていたが、ドミニオンに逆らったため、生まれつき「テプラン・ブライト」という病気に感染するよう、ドミニオンに仕組まれていたのだった。

ブライトはいつ発病するかわからないがたいていは子どもを産む前には発病する。
発病すると治療は不可能で、激しい痛みを伴い死に至る。
そのため、ここの人たちは治療は既にあきらめており、発病したら安楽死を行うようになっていた。

これに納得のいかないベシアは治療法を見つけようとする。
キラはディファイアントがジェム・ハダーにみつからないよう、少し離れた星雲で待機し、1週間後に迎えに来ることにした。
ベシアは1週間の間に治療法を見つけようと奮闘する。

たまたま出会った現地のエコリアという女性の家に住み込みで研究を続けるベシアとダックス。
エコリアは妊娠しており、子どもと一緒に生き続けたいと語った。

しかし、ベシアの最初の研究は失敗に終わる。
治療法が見つかったと思いかけたときにウイルスが変異し、ベシアのところに来ていた患者たちは次々に死んでいった。
ベシアの使っていた機械の影響でウイルスが変異してしまったことが後でわかり、愕然とする。

キラと約束した1週間では治療法は見つからず、簡単に、傲慢に考えていた自分を反省したベシアは、さらに残って研究を続けた。

エコリアは発病し、死期が近づいてくる。
おなかの子どもが生まれるまで持つかどうか、という状態だった。
ベシアはエコリアを看病しながら研究を続けていたが、おかしなことにエコリアに抗原を注入したのに、その痕跡がなくなっていることに気づく。
免疫機能が拒否反応を起こしているようだと結論づけ、治療薬は完成しない。

出産の時が来た。
エコリアは最後の力を振り絞り新しい命を産み落とした。
ベシアは赤ん坊をみて驚愕する。
ブライトの斑点がなかったのだ!
ベシアの作った薬は既に感染している患者の治療はできなかったが、妊婦に投与することで胎児のワクチンとして働き、次の世代を守れることが分かったのだ。

安楽死を行っていた医師、トレビアンに薬の量産を託した。

■感想
今までで一番かっこいいベシアが大登場です。(笑)
DS9の初期は、ベシアはキャラがいまいち不安定で、ただの軽そうな奴でしたが、今では多くの種族が集まるDS9の医療を担う頼もしいやつですね。
ドクターマッコイやドクタークラッシャーのような船医とは違い、町医者のような側面もありますので、守備範囲が広く大変そうです。

今回一行が訪れた惑星では、200年もの間、全員が生まれつき感染する病を植え付けられているという、医者にとっては最悪の場所でした。
しかも長い間、その病気「ブライト」が社会の中に入り込み、もはや文化の1つといえる程になっています。
人の死は早く訪れるものであり、死はある意味、いつ訪れるか分からない苦しみからの究極の逃げ道になっています。
早く発病して死にたい、という気持ちすらあるほどです。

トレビアンをはじめ現地人たちはベシアの治療に批判的ですが、それも含めてドミニオンに埋め込まれた敗北感と言えるでしょうか。

あくまでスタートレックというSFの中の話ではありますが、難病に挑む医師という構図はSFの枠を超えて普遍的に感動を呼びますね。
治療法が全く見つからずにバッドエンド、というものでもなく、ご都合主義的に全員完治、というものでもなく、次の世代に希望があるというまとめ方もうまいです。

ドミニオン、創設者ですが、どうやら生物科学は特に進んでいるようですね。
ジェム・ハダーのように兵士を生み出すこともできるわけですし、今回のように種族全体に不治の病を植え付けることも出来るわけですから。

しかしなぜここではジェム・ハダーのように利用するのではなく、単に病をまいたのでしょうか。
ここの種族が兵士には向かない・利用価値がなかったのか、既にジェム・ハダーを持っていてこれ以上の兵士は不要だったのか、その他の理由で兵士としての利用が不可能だったのか。
見せしめとして悲惨な生活を送り続ける種族がいる、というのも創設者の統治には大事だったのかもしれません。


ところで今回の冒頭では、本編と全く関係のないクワークのミニエピソードが挿入されています。
DS9のシステムに侵入し、バーのコマーシャルを流すというもの。
もちろんシステムへの侵入は罪なのでとがめられますが、クワークが愛されているのかそれほど深刻でない箇所への侵入なのか、厳しい罰は科せられませんでした。

そういえばこの世界の娯楽というのはホロスイート以外にはどんなものがあるのかあまり描かれませんね。
クワークの発想はテレビやラジオのコマーシャルですが、テレビ放送がされている様子もありませんし。
すぐ見つかって怒られたものの、新しい広告手段を編み出したクワークはなかなか賢い奴なのかも知れません。

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