サッカー競技規則について思うこと(というか主に愚痴)
子どもが少年サッカーチームに入っていて、審判の手伝いをしていると、いろいろ不可思議な現象に遭遇します。
なかなか理解を得られない愚痴なのですが、たまるばかりなのも精神に害なので、チラシの裏的に書いてみます。
(超長文の予感)
●旧ルール適用
サッカーのルールは毎年改定されます。(もちろんよりよい物を目指して)
国際サッカー評議会(IFAB:International Football Association Board)という機関が策定していて、FIFAに所属するすべての協会の試合に適用されます。
もちろん日本のJFAも入っています。
2015/16の競技規則と2016/17のものは過去最大級と言われる改定になっており、Jリーグなどでもいつから16/17が適用されるかというのはサッカーファンならちょっとは耳に挟んだかも知れないくらい話題になりました。
ちなみにJ1では2016の2ndシーズンから適用されました。
JFAからのお達しでは2017年度の始まりまでに適用するように、ということなので、2016年度中は古いルールが適用可能なのですが、まぁ、最初に書いたとおり、基本的には改善しているものですから、わざわざ古いルールを適用する意味はよく分かりません。
分からないけど、結構あるんですよね、これが。
まぁ、そこまではヨシとしよう。
その書き方がよく分からないのが多くて、この間思わず吹いたけど「平成28年度日本サッカー協会競技規則(旧ルール)」を適用すると書いてありまして。
日本サッカー協会は競技規則を定めていないし、平成28年度版ってのもない。
旧ルールと書いてあることから、IFABの2015/16競技規則を適用せいと言いたいらしいのは分かるけどね。
この書き方からして、僕ら審判員からすると、「この主催者大丈夫か?」と非常に不安に駆られるわけです。
●少年サッカー(4種)でのユニフォーム
小学生のサッカーを4種と言います。
サッカーは通常1チーム11人でプレーします。交代人数は1試合3人まで。(2016/17から、延長戦の場合は4人まで)。
プロの試合で分かるとおり、ベンチに入っていて出られない選手って結構いますよね。
で、4種の場合、育成の観点からなるべく多くの選手にプレーする機会を与えようという理念の元、JFAが8人制という特殊ルールを制定しています。
・1チームを8人にすることでボールに触る機会を増やす。
・交代人数は無制限、一度退いた選手が再び出場することも可能
・退場時に選手の補充が可能(人数が減らない)
というルールにすることで、例えば選手を16人連れてきたら、前後半でまるまる入れ替えて全員にプレーさせるということも可能になるわけですね。
で、8人制のユニフォームの規定で、「両チーム、ジャージー(シャツ)の色彩が同じ場合、また、同色彩のジャージー(シャツ)が揃わない場合、競技会規定に定めがあればビブスを着用して対応することができる。」というものがあります。
これも用具の負担を減らそうと言う意図と僕は解釈しています。
せっかくJFAがこうした方が良いよ、と言ってくれているところ、市や県レベルの大会で、「正副2種類のユニフォーム必須」という大会の多いこと。
なぜビブスでダメなのか理由を示して欲しい物です。
ユニフォームを2種類買うことはサッカーの本質ではありません。
日本は経済的にそこそこ恵まれていますので、そういわれればなんとか用意するのでしょうが、それでも経済的に厳しいなと感じる場合はあるはずです。
そこでハードルを上げて誰の利益になるのか不明です。
●キックオフからの得点
キックオフはボールが前に動いたら、新旧どちらのルールでも確実にインプレーになります(=プレーが始まります)。
なので、通常の考えで言えば、キックオフから直接ゴールにボールが入った場合は得点が認められるべきです。
しかし、上述の8人制サッカーはピッチが小さいので、直接のゴールは認められていません。
そうしないとキック力のあるチームに有利だからでしょう。
なのに、とある8人制の大会で「キックオフからの直接のゴールを認める」という記載がありました。
Why?
なぜあえて認める必要があるのか教えて欲しいものです。
大会主催者はキック力を重視したいのでしょうか。
意味不明です。
●得点時の笛
ある大会で「得点時になるべく笛をふいてあげてください」という記載がありました。
ふいてあげる、という書き方から想像するに、笛を吹くことで子どもに分かりやすくやりましょうというような意図を感じます。
なるほど、その意図はまぁ、分かったとしてだ。
得点時の笛については競技規則に付属のガイドライン内に以下の記載があります。
次の場合、笛を吹く必要はない:
・ 次の理由でプレーを停止するとき
・ ゴールキック、コーナーキック、スローイン、得点
(中略)
不必要な笛を多く吹きすぎると、本当に必要な場合に効果が薄れることになる。
ということで、要するに、得点時は笛を吹かないようにしなさい、ということです。
得点が曖昧で、ゴールラインを割ったのにプレーが続いてしまっている場合は笛を吹く必要がありますが、明確な得点時には笛は吹かないのです。
実は(伝聞ですが)、10年ほど前までは得点時に笛を吹いていたようです。
これが不要な笛という判断で、今では吹かないことになったという経緯があります。
そこであえて「笛をふいてあげてください」というと、これは親切が過ぎて、むしろ害があると僕は思うのです。
子どもだっていろいろなことを教えれば結構学習能力はあります。
笛が無くても分かるし、分かるようになっていくべきだと思います。
しかし、そこで過保護にしてしまうと、その機会が奪われてしまいます。
「そんな細かいこと」と思うかも知れませんが、競技規則は細かいことの積み重ねです。
こういう部分を良く検討せずに「吹いてあげてください」で済ませてしまう精神が問題です。
ちょっと話がずれますけど、スローイン、コーナーキック、ゴールキックなどのとき、単にシグナルだけでは無く声で指示する審判をたまに見かけます。
僕はあまり好きではありません。
選手は審判のシグナルをみて理解できるように誘導すべきです。
判定がうまく伝わっていないときだけ、追加の手段として声をかければ十分。常に言う必要はありません。
●まとめ
長々と書きましたが、言いたいのは、競技規則というものをもっと尊重して欲しいと言うこと。
どのバージョンを使うのか、大会規程で上書きするならそれはどういう意図なのか、深く考えていない場合が多すぎます。
子どもにとって、試合の場はルールを理解する場でもあります。
なので、きちんとした検討無しになんとなく競技規則を取り扱うことに、僕は大反対です。
残念ながら主催者・指導者のほとんどが正しく競技規則を理解していないと思われるのが現状です。
少なくとも大会規程をつくるにあたっては、理解するよう心がけて欲しいと思います。
なかなか理解を得られない愚痴なのですが、たまるばかりなのも精神に害なので、チラシの裏的に書いてみます。
(超長文の予感)
●旧ルール適用
サッカーのルールは毎年改定されます。(もちろんよりよい物を目指して)
国際サッカー評議会(IFAB:International Football Association Board)という機関が策定していて、FIFAに所属するすべての協会の試合に適用されます。
もちろん日本のJFAも入っています。
2015/16の競技規則と2016/17のものは過去最大級と言われる改定になっており、Jリーグなどでもいつから16/17が適用されるかというのはサッカーファンならちょっとは耳に挟んだかも知れないくらい話題になりました。
ちなみにJ1では2016の2ndシーズンから適用されました。
JFAからのお達しでは2017年度の始まりまでに適用するように、ということなので、2016年度中は古いルールが適用可能なのですが、まぁ、最初に書いたとおり、基本的には改善しているものですから、わざわざ古いルールを適用する意味はよく分かりません。
分からないけど、結構あるんですよね、これが。
まぁ、そこまではヨシとしよう。
その書き方がよく分からないのが多くて、この間思わず吹いたけど「平成28年度日本サッカー協会競技規則(旧ルール)」を適用すると書いてありまして。
日本サッカー協会は競技規則を定めていないし、平成28年度版ってのもない。
旧ルールと書いてあることから、IFABの2015/16競技規則を適用せいと言いたいらしいのは分かるけどね。
この書き方からして、僕ら審判員からすると、「この主催者大丈夫か?」と非常に不安に駆られるわけです。
●少年サッカー(4種)でのユニフォーム
小学生のサッカーを4種と言います。
サッカーは通常1チーム11人でプレーします。交代人数は1試合3人まで。(2016/17から、延長戦の場合は4人まで)。
プロの試合で分かるとおり、ベンチに入っていて出られない選手って結構いますよね。
で、4種の場合、育成の観点からなるべく多くの選手にプレーする機会を与えようという理念の元、JFAが8人制という特殊ルールを制定しています。
・1チームを8人にすることでボールに触る機会を増やす。
・交代人数は無制限、一度退いた選手が再び出場することも可能
・退場時に選手の補充が可能(人数が減らない)
というルールにすることで、例えば選手を16人連れてきたら、前後半でまるまる入れ替えて全員にプレーさせるということも可能になるわけですね。
で、8人制のユニフォームの規定で、「両チーム、ジャージー(シャツ)の色彩が同じ場合、また、同色彩のジャージー(シャツ)が揃わない場合、競技会規定に定めがあればビブスを着用して対応することができる。」というものがあります。
これも用具の負担を減らそうと言う意図と僕は解釈しています。
せっかくJFAがこうした方が良いよ、と言ってくれているところ、市や県レベルの大会で、「正副2種類のユニフォーム必須」という大会の多いこと。
なぜビブスでダメなのか理由を示して欲しい物です。
ユニフォームを2種類買うことはサッカーの本質ではありません。
日本は経済的にそこそこ恵まれていますので、そういわれればなんとか用意するのでしょうが、それでも経済的に厳しいなと感じる場合はあるはずです。
そこでハードルを上げて誰の利益になるのか不明です。
●キックオフからの得点
キックオフはボールが前に動いたら、新旧どちらのルールでも確実にインプレーになります(=プレーが始まります)。
なので、通常の考えで言えば、キックオフから直接ゴールにボールが入った場合は得点が認められるべきです。
しかし、上述の8人制サッカーはピッチが小さいので、直接のゴールは認められていません。
そうしないとキック力のあるチームに有利だからでしょう。
なのに、とある8人制の大会で「キックオフからの直接のゴールを認める」という記載がありました。
Why?
なぜあえて認める必要があるのか教えて欲しいものです。
大会主催者はキック力を重視したいのでしょうか。
意味不明です。
●得点時の笛
ある大会で「得点時になるべく笛をふいてあげてください」という記載がありました。
ふいてあげる、という書き方から想像するに、笛を吹くことで子どもに分かりやすくやりましょうというような意図を感じます。
なるほど、その意図はまぁ、分かったとしてだ。
得点時の笛については競技規則に付属のガイドライン内に以下の記載があります。
次の場合、笛を吹く必要はない:
・ 次の理由でプレーを停止するとき
・ ゴールキック、コーナーキック、スローイン、得点
(中略)
不必要な笛を多く吹きすぎると、本当に必要な場合に効果が薄れることになる。
ということで、要するに、得点時は笛を吹かないようにしなさい、ということです。
得点が曖昧で、ゴールラインを割ったのにプレーが続いてしまっている場合は笛を吹く必要がありますが、明確な得点時には笛は吹かないのです。
実は(伝聞ですが)、10年ほど前までは得点時に笛を吹いていたようです。
これが不要な笛という判断で、今では吹かないことになったという経緯があります。
そこであえて「笛をふいてあげてください」というと、これは親切が過ぎて、むしろ害があると僕は思うのです。
子どもだっていろいろなことを教えれば結構学習能力はあります。
笛が無くても分かるし、分かるようになっていくべきだと思います。
しかし、そこで過保護にしてしまうと、その機会が奪われてしまいます。
「そんな細かいこと」と思うかも知れませんが、競技規則は細かいことの積み重ねです。
こういう部分を良く検討せずに「吹いてあげてください」で済ませてしまう精神が問題です。
ちょっと話がずれますけど、スローイン、コーナーキック、ゴールキックなどのとき、単にシグナルだけでは無く声で指示する審判をたまに見かけます。
僕はあまり好きではありません。
選手は審判のシグナルをみて理解できるように誘導すべきです。
判定がうまく伝わっていないときだけ、追加の手段として声をかければ十分。常に言う必要はありません。
●まとめ
長々と書きましたが、言いたいのは、競技規則というものをもっと尊重して欲しいと言うこと。
どのバージョンを使うのか、大会規程で上書きするならそれはどういう意図なのか、深く考えていない場合が多すぎます。
子どもにとって、試合の場はルールを理解する場でもあります。
なので、きちんとした検討無しになんとなく競技規則を取り扱うことに、僕は大反対です。
残念ながら主催者・指導者のほとんどが正しく競技規則を理解していないと思われるのが現状です。
少なくとも大会規程をつくるにあたっては、理解するよう心がけて欲しいと思います。
コメント