AlphaGoがイ・セドル氏を圧倒した、この先の未来。
Googleの囲碁人工知能「AlphaGo」と韓国のトッププロ棋士イ・セドル九段の対局は5局行われ、AlphaGoの4勝1敗という驚くべき結果になっています。
これはAlphaGoの圧勝と行って良いでしょう。
後から言ってもしかたない話ですが、僕はAlphaGoはかなり良い勝負をして勝つのではないかと思っていました。
しかし、ここまで圧倒するとは思っていなかったです。
今回イ・セドル氏は文字通り一矢報い、まだ完全に人間を超えたとは言えないことを示しました。
しかしここまで来たら遅くとも数年以内に人間の打ち手が人工知能に歯が立たなくなる日が来ると予想します。
その場合どうなるのかを妄想してみたい。
■1.試合としての囲碁、そしてプロ棋士も無くならない
機械が人間を凌駕したと言っても、試合の魅力は無くなりません。
人間同士の熱い戦いは観る価値のあるものです。
例えば建設機械と相撲を取っても意味が無いのと同じで、人間を遙かに超えた力を持つAIと囲碁で戦っても面白くなく、人間同士の熱い戦いは引き続き行われると予想します。
しばらくは、人間界の頂点に達した棋士がAIに挑戦するという棋戦があったら盛り上がりそうです。
■2.人間の囲碁のレベルが格段に上がる
僕のようなレベルのアマチュアはさておき、プロが研究にAIを活用すると、今までとは違った知見が得られ、格段にレベルアップできると予想します。
昨日の対局のAlphaGoは、解説の高尾九段も評価に迷うような、というか悪手だろ!みたいな手がいくつかあったようです。
結果的にそれが良かったのか悪かったのかは今後の研究ですが、今までの先入観に左右されない新しい碁の評価が次々生まれると、碁の打ち方がかつて無いほど急速に変化するのではないでしょうか。
歴史上でもたまに現れる頭1つ抜けた名人によって、その前後の碁が大きく変わるというターニングポイントはありました。
AlphaGoのようなソフトの出現は、そういった天才が同時に多数出現したのと同じインパクトがあると思われます。
もしかしたら人間の碁が進化することで、一度は人工知能に水をあけられてもまた追いつける可能性もありますね。
AlphaGoは全ての手を読み切っているわけでは無いため、いわゆる「神の一手」はここからは生まれません。
そうで無い以上、まだ追いつけます。
将来的にコンピュータの演算能力が究極的に高まって、全ての手が解析されたら「正解」が分かりますが、それはまだまだ時間がかかりそう。
■3.指導碁は当面人間頼み
プロなど碁のうまい人が、指導目的で打つ碁を指導碁と言います。(そのままだな)
指導碁は勝負では無いので、先生側が生徒をうまく導く必要があります。
それによって生徒は新しい手を学んだり、自分の弱点を修正したりします。
人工知能は今のところ、とにかく勝つことが目的なので、指導碁は打てません。
相手の力量に合わせて自分の手を調整する(僅差を目指す)ことはできそうですが、指導碁はただ緩めればいいというものでも有りません。
また、終局後の検討もできません。
指導碁は勝負の囲碁とは全然目的が違うので、アプローチも変える必要があると思います。
■4.棋戦解説に導入される
AIが手の意味を説明するのは難しいかもしれません。
ただ勝率の高いと判定された手を打っているだけなので、もししゃべれるなら「理由はともかくこれが勝てそうだから」と言うでしょう。
ただし、ある局面で、AIなりの一手を示すことはできます。
テレビ棋戦などで、AIの一手を紹介しながらプロが解説するというのは面白いと思います。
また、AIの形勢判断を示すのも一興。
AIが囲碁をどう見ているかを伝えることにもなりますので、観てみたいです。
AIの開発者的にはネタばらしみたいなところがあるのでやりにくいかな?
■5.アマチュアが自由に打つようになる
特に日本人にありがちだと思うのですが、アマチュアは本などでしっかり勉強して学んだ形で打とうという傾向があるようです。(僕も含め)
アマはプロのように新し手を生み出すことはなかなか難しいので、覚えた形をベースにするのはまぁ当たり前ですが。
ところがAlphaGoは、プロでさえ検討する前に切ってしまうような筋の悪そうな手を打ち、イ・セドル氏に勝ちました。
これをみて少なくとも僕は、囲碁ってもっと自由で良いんだと気づかされました。
人間の学習は先入観をうまく利用した方が効率が良いので、ある程度そういうところに引かれるのは仕方ないとして、そこから一歩進んだ、打ってみたい手を選択するアマが増えて、面白い味のある対局が増えることと思います。
その意味ではAlphaGoはアマの碁にも良い影響を与えたと言えます。
■6.そしてその先
すでに韓国棋院はGoogleに対してリベンジマッチのオファーを出しているようです。
セドル氏よりランキングの高いパク・ジョンファン氏が出てくるかもしれません。
中国の柯潔氏が挑戦するかもしれないという話もありますね。
いずれにしても数年でAIは人間の手の届かないレベルに達すると、僕は思います。
そうなったらGoogleのAI囲碁プロジェクトは目標達成でしょうね。
元々、Googleにとって囲碁は通過点でしかなく、ディープラーニングによるAIの問題解決能力を試すひとつの手段に過ぎません。
AlphaGoの技術は既に他分野への応用が始まっていると思いますが、囲碁で人間を圧倒できるほどまで精度が高まれば、噂の自動運転車や医療分野への応用など、より高い精度が求められる分野でも実用化されるでしょう。
僕らの生活は大きく変わります。
自分がそうと気づかないところでもたくさんのAIのサポートがあることでしょう。
例えば今でも、Amazonのおすすめは欲しい物を自然と進めてきますし、見たい情報をあらかじめ調べておいてくれるGoogle Nowというアプリもあります。
Siriは今はただのお笑い芸人ですが、数年のうちにはこういったアシスタントも格段に進歩して本当に使えるものになるでしょう。
機械に仕事が奪われるなどマイナス面を強調される方も居ますが、僕はAIは我々の生活を寄り豊かにすると信じています。
これからの数年は人工知能分野が面白いことになりそうです。
これはAlphaGoの圧勝と行って良いでしょう。
後から言ってもしかたない話ですが、僕はAlphaGoはかなり良い勝負をして勝つのではないかと思っていました。
しかし、ここまで圧倒するとは思っていなかったです。
今回イ・セドル氏は文字通り一矢報い、まだ完全に人間を超えたとは言えないことを示しました。
しかしここまで来たら遅くとも数年以内に人間の打ち手が人工知能に歯が立たなくなる日が来ると予想します。
その場合どうなるのかを妄想してみたい。
■1.試合としての囲碁、そしてプロ棋士も無くならない
機械が人間を凌駕したと言っても、試合の魅力は無くなりません。
人間同士の熱い戦いは観る価値のあるものです。
例えば建設機械と相撲を取っても意味が無いのと同じで、人間を遙かに超えた力を持つAIと囲碁で戦っても面白くなく、人間同士の熱い戦いは引き続き行われると予想します。
しばらくは、人間界の頂点に達した棋士がAIに挑戦するという棋戦があったら盛り上がりそうです。
■2.人間の囲碁のレベルが格段に上がる
僕のようなレベルのアマチュアはさておき、プロが研究にAIを活用すると、今までとは違った知見が得られ、格段にレベルアップできると予想します。
昨日の対局のAlphaGoは、解説の高尾九段も評価に迷うような、というか悪手だろ!みたいな手がいくつかあったようです。
結果的にそれが良かったのか悪かったのかは今後の研究ですが、今までの先入観に左右されない新しい碁の評価が次々生まれると、碁の打ち方がかつて無いほど急速に変化するのではないでしょうか。
歴史上でもたまに現れる頭1つ抜けた名人によって、その前後の碁が大きく変わるというターニングポイントはありました。
AlphaGoのようなソフトの出現は、そういった天才が同時に多数出現したのと同じインパクトがあると思われます。
もしかしたら人間の碁が進化することで、一度は人工知能に水をあけられてもまた追いつける可能性もありますね。
AlphaGoは全ての手を読み切っているわけでは無いため、いわゆる「神の一手」はここからは生まれません。
そうで無い以上、まだ追いつけます。
将来的にコンピュータの演算能力が究極的に高まって、全ての手が解析されたら「正解」が分かりますが、それはまだまだ時間がかかりそう。
■3.指導碁は当面人間頼み
プロなど碁のうまい人が、指導目的で打つ碁を指導碁と言います。(そのままだな)
指導碁は勝負では無いので、先生側が生徒をうまく導く必要があります。
それによって生徒は新しい手を学んだり、自分の弱点を修正したりします。
人工知能は今のところ、とにかく勝つことが目的なので、指導碁は打てません。
相手の力量に合わせて自分の手を調整する(僅差を目指す)ことはできそうですが、指導碁はただ緩めればいいというものでも有りません。
また、終局後の検討もできません。
指導碁は勝負の囲碁とは全然目的が違うので、アプローチも変える必要があると思います。
■4.棋戦解説に導入される
AIが手の意味を説明するのは難しいかもしれません。
ただ勝率の高いと判定された手を打っているだけなので、もししゃべれるなら「理由はともかくこれが勝てそうだから」と言うでしょう。
ただし、ある局面で、AIなりの一手を示すことはできます。
テレビ棋戦などで、AIの一手を紹介しながらプロが解説するというのは面白いと思います。
また、AIの形勢判断を示すのも一興。
AIが囲碁をどう見ているかを伝えることにもなりますので、観てみたいです。
AIの開発者的にはネタばらしみたいなところがあるのでやりにくいかな?
■5.アマチュアが自由に打つようになる
特に日本人にありがちだと思うのですが、アマチュアは本などでしっかり勉強して学んだ形で打とうという傾向があるようです。(僕も含め)
アマはプロのように新し手を生み出すことはなかなか難しいので、覚えた形をベースにするのはまぁ当たり前ですが。
ところがAlphaGoは、プロでさえ検討する前に切ってしまうような筋の悪そうな手を打ち、イ・セドル氏に勝ちました。
これをみて少なくとも僕は、囲碁ってもっと自由で良いんだと気づかされました。
人間の学習は先入観をうまく利用した方が効率が良いので、ある程度そういうところに引かれるのは仕方ないとして、そこから一歩進んだ、打ってみたい手を選択するアマが増えて、面白い味のある対局が増えることと思います。
その意味ではAlphaGoはアマの碁にも良い影響を与えたと言えます。
■6.そしてその先
すでに韓国棋院はGoogleに対してリベンジマッチのオファーを出しているようです。
セドル氏よりランキングの高いパク・ジョンファン氏が出てくるかもしれません。
中国の柯潔氏が挑戦するかもしれないという話もありますね。
いずれにしても数年でAIは人間の手の届かないレベルに達すると、僕は思います。
そうなったらGoogleのAI囲碁プロジェクトは目標達成でしょうね。
元々、Googleにとって囲碁は通過点でしかなく、ディープラーニングによるAIの問題解決能力を試すひとつの手段に過ぎません。
AlphaGoの技術は既に他分野への応用が始まっていると思いますが、囲碁で人間を圧倒できるほどまで精度が高まれば、噂の自動運転車や医療分野への応用など、より高い精度が求められる分野でも実用化されるでしょう。
僕らの生活は大きく変わります。
自分がそうと気づかないところでもたくさんのAIのサポートがあることでしょう。
例えば今でも、Amazonのおすすめは欲しい物を自然と進めてきますし、見たい情報をあらかじめ調べておいてくれるGoogle Nowというアプリもあります。
Siriは今はただのお笑い芸人ですが、数年のうちにはこういったアシスタントも格段に進歩して本当に使えるものになるでしょう。
機械に仕事が奪われるなどマイナス面を強調される方も居ますが、僕はAIは我々の生活を寄り豊かにすると信じています。
これからの数年は人工知能分野が面白いことになりそうです。
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