コンテンツの値段について思うこと。

AppleのNewsstandのレビューが酷い。
曰く、「無料なんて詐欺」「無料じゃ全然見られない」

Appleの表示にも問題がある。AppStoreで配信しているのはあくまでビューワなのでそれ自体は無料だから、無料と表示される。実際コンテンツはアプリ内で定期購読の課金をすることになるわけだが。

でもちょっと考えてみれば、今まで書店で売っていた物がタダで見られると思っている方がおかしい。

日本では(NHKは別にして)テレビは基本タダだし、雑誌もコンビニや書店で立ち読みしてしまう人はまぁ無料だ。(立ち読みは情報の窃盗だと思うが)
そういう環境にあるせいか、日本ではネット配信コンテンツに対価を払う意識があまりないという話を聞く。これは非常にゆゆしき問題だと思う。

コンテンツが無料だと思っている人は下記のどこまで理解できるのだろうか。

自分が何か素晴らしい物を生み出したとして、単純に作り手としては沢山の人にそれを楽しんでもらいたいと思うだろう。ただ、それだけでは社会は回らない。新しい物を作り続けるには生活して行かなくてはならないから、作った物に対しては対価が欲しい。ここまでは理解できるだろうか。

書籍なり映像なりのコンテンツは、日用品のように形のある物ではない。情報でしかないわけだから、日用品と違って複製が可能だ。また、日用品と違って必要な時に備えて所有する必要もない。誰かが見ているのを横から盗み見ても良いわけだ。
本やビデオの貸し借り、コピーなどは今までもずっと有ったことだとは思うが、最近の機械の進歩により、これらの行為がコンテンツ製作者の権利を致命的に犯すレベルになってきた。

ここで僕らは選択しなくてはならない。

●良いコンテンツを作ってくれた人に感謝の気持ちを込めて適切な対価を払う
●無料で自分だけが楽しむためにコピーする

考えるまでもなく、適切な対価を払うべきだ。

それが分かっていれば、冒頭のNewsstandにしても、内容を見るには定期購読の課金が必要であっても当たり前だと理解できるはずだ。
こういうのは頭の善し悪しではなく、人間としての品格の問題だと思う。

残念ながらコンテンツの消費者については、かなり高い比率で、できれば不当にコンテンツを楽しんでしまいたいという輩がいるらしい。


さて、供給者はどうだろうか。
消費する側がこの有様なので致し方ないとは思うが、コンテンツの保護については過敏だ。
ガチガチに著作権保護の仕様を設定することで使い勝手を犠牲にして、結局は失敗してきた。

製作コストの話はさておいて、

●一度購入すれば、朽ちない限り所有可能で、貸し借りの制限もない紙の本
●貸し借りができない上に、再ダウンロード期間が1年など極度に短く、半永久的な所有が保証されない電子書籍

上記2点がほぼ同価で販売されている。これはこれでゆがんでいる。「一応電子版あるけど、買うなら紙にして」と言われているような物だ。



いつも思うことだが、結局は「お互い様」という気がする。音楽の場合はiTunesMusicStoreがコピーガードを外し、供給側が歩み寄った。書籍もそうなることを願いたい。



とにかく、一消費者の立場として、コンテンツを楽しむ仲間に言いたいことは、適切な対価を払って楽しむという気持ちを大事にすること。それだけだ。

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