ドクター・ノア(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP4-9)

DS9シーズン4のエピソード9。

新スタートレックではホロデッキでのエピソードが多かったけど、DS9ではめっきり減っていた。(DS9ではホロスイート)
ホロスイートが出てくると何でもアリになってきてしまって、SF的なリアリティがなくなってしまうと思っているので、個人的にはこのくらいでいいと思ってます。

(以下、ネタバレ含む)

今回は、ホロスイートを使っているのはドクター・ベシア。
余暇に1960年代を舞台にしたプログラムを楽しむのが趣味のようですね。
まぁ、内容はベシアらしいというか。

ベシアがホロスイート使用中に、シスコたちが乗ったランナバウトがミッションから帰還しますが、トラブルで着艦できず。
緊急転送を試みるもこれも失敗し、転送のバッファデータを一時的にステーション内の別のメモリに保存します。
しかし5人分の量子データの受け皿が通常の状態では存在しておらず、バッファも長くは維持できないため、緊急的にメモリを空けてどこでもいいから格納する、という指示をだすはめに。

その結果、ステーションの機能が一部停止したほか、ホロスイートにも異常が起こります。

バッファデータが、神経データ(5人の思考データとでも言えばいいのかな?)と物理データ(身体の形状データ)に分離され、物理データが、もともとその類のデータを扱える構造になっていたホロスイートに保存されてしまったことが、ホロスイート不調の原因でした。

ベシアが実行中のホロスイートに、事故にあった5人が次々登場。
ベシアのプログラムの登場人物に、5人のボディーの情報が混ざってしまった状態で、性格は全然違います。
ホロスイートのプログラムを停止してしまうとボディー情報が消えてしまう可能性があるため、仕方なく続行。
しかも、ストーリー上で死亡扱いになったキャラクターはメモリから消去される仕様だそうで、ベシアは登場人物が死なないようにストーリーを進めることに。
オドーやエディングトンらが神経データの保存場所を探し、復旧するまで、自分も含めて誰も死なないように、というのはある意味難しいミッションですね。。。

もちろん最終的にはベシアは危ないバランスの中でなんとかストーリーを維持することに成功し、5人は無事バッファから復元されましたとさ、めでたしめでたし。



しかし、スタートレック世界の転送は事故が少ないことがウリだったはずなのに、よく事故ります。
まぁ、エンタープライズにしろDS9にしろ、最前線ともいえる過酷な状況での運用なので、仕方のないことかもしれません。

転送装置の仕組みは、人間を量子データまで分解(分子よりも細かいらしい)しデータをスキャン、そのデータを元に別の場所に再構成するというものです。
厳密に言うと転送前後は別人というか、構成物の材料でいえば100%入れ替わっていることになります。
といってももともと人間の体は新陳代謝で数日ですっかり入れ替わるらしいので、それが一瞬で起こっているだけと考えれば普通なのかな。

通常は転送は、分解と再構成をすぐに行いますが、再構成をすぐに行わずにデータを取っておけば、コールドスリープと同じように、数十年間眠りにつくこともできます。
新スタートレックで、元祖スタートレックのスコッティが登場したエピソードはその理屈です。

また、一つのデータから2回再構成をすると、ある人物のその時点での完全なコピーができることになります。
同じく新スタートレックのエピソードで、ライカーが過去の事故により2人に分離しているというものがありました。
これは分離時点での記憶も完全に引き継ぎますので、クローンよりもより類似性が高いですね。
もっとも、そういうことが起こらないように何らかの安全機構が存在するはずです。

さて今回の事故の場合は、すぐに再構成する前提の装置なのですが、一瞬はそのデータをメモリに保持する必要があります。
その一時データがバッファですね。
バッファはあくまで一時的なもので長く保持できないようです。
おそらく他のプログラムも使用するメモリを利用するのでしょう。
例えばバッファを維持するためにメモリをロックしたら生命維持装置が止まる、とかだったらずっと保持しておくことはできませんよね。

なので、バッファが消えてしまう前にどこかに移動する必要があったのですが、ボディデータがホロスイートというのがなんとも。。。
ホロスイートはDS9の中枢システムとつながってるんでしょうか。
民間のシステムが軍のシステムとつながっているというのはちょっと無理があるような気がしますけど。(^^;


今回の見どころは2つ。

1つは、最近どんどん頼もしくなってきているロム。
ジャッジアもオブライエンも事故にあってしまったので、ロムが一番技術に詳しいという状況に。
はっきり言って5人を救えたのはロムの手柄ですよね。
これからも頑張ってほしい!

もう1つは、ホロスイートに登場したアナ。
キラのボディーデータで登場しますが、設定がロシア人なので、ロシアなまりの英語を話します。
キラ役の俳優さん、うまいですね。
ロシアなまりといえば、チェコフを思い出して懐かしくなりました。


結果的にはホロスイートのご都合主義的な面をうまく中和し、SFとしてなんとか成立するプロットになっているかな~と思います。

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