クワーク、絶体絶命(スタートレックディープスペースナイン レビュー / EP4-24)

スタートレックDS9シーズン4もほぼ終わりの、エピソード24。

健康診断で稀な致死性の病気にかかっていると宣告されたクワークが身辺整理を始めるところから意外な展開を見せるエピソードです。

(以下、ねたばれ含む)

■あらすじ
里帰りをしていたクワークがディープスペースナインに帰ってきたが、様子がおかしい。
ロムが話を聞く内に打ち明けたところに依ると、健康診断の結果、ドレク症候群という500万人に1人しかかからない不治の病で余命数日と宣告されたと告げる。

落ち込みながらも、死ぬ前の身辺整理をしようとするが、返さなければならない借金が大きすぎてどうにもならない。
フェレンギ人は死ぬと、故人の思い出のために体をばらして売るという習慣があるが、ロムは先物取引として生前に体の競売を行うことを提案した。
クワークは、自分の体が借金が返せるほどの値打ちがあるとは思っていなかったが、やってみることに。

入札は1件だけだった。
しかも、それはロムが全財産をつぎ込んだだけだったと分かる。
クワークは落胆するが、そうしているうちに、匿名でラチナム延べ棒500本という超高額の入札が入った。
クワークは、相手の気が変わらないうちに、と取引を確定してしまう。

借金返済を開始しようとしているクワークのところにベシアが伝言を持ってきた。
なんと、クワークがドレク症候群というのは診断の誤りだったという。
死なずに済むことが解り喜ぶクワーク。

だが、その夜、クワークの部屋のベルをしつこくならす者がいた。
開けてみるとFCAのブラントだった。
クワークの死体に高額の入札をいれたのはブラントだったのだ。
ドレク症候群が誤診だったことも知っているブラントだが、かつてクワークにしてやられたことから恨みを持っているので、契約通り体の引き渡しを要求する。
つまり、死ねというのだ。

ロムは契約の破棄を提案するが、フェレンギ人として契約は破れない。
クワークはガラックをたずね、自分を殺してくれるよう頼む。
しかしその夜の夢に、初代グランド・ネーガスのギントが登場し、やはり契約を破棄するように勧める。

クワークは意を決し、次の日、ブラントに契約を破棄する旨を宣言した。
ブラントはFCAの権限を行使し、全財産を没収、全ての商取引を禁止する通告をし去って行った。

失意の内に全てを没収された店で座り込むクワークのところに、ベシアがブランデーを持ってきた。
患者が治療費の代わりとして置いていったが受け取れないのでやる、という。さらにダックスは、妹からもらったというグラスが気に入らないから使ってくれと持ってきた。
最後に現れたシスコは、居住区の一部が改修中で家具が置けないため、一時的にここ(クワークのバー)に置かせて欲しいと言ってきた。
クワークのバーが再開した。

■感想
今回は良かったですね。クワークでここまで感動できるとは思いませんでした。(笑)
フェレンギのエピソードこそ、ディープスペースナインの真骨頂のようです。

今回もフェレンギの習慣や考え方ついて面白い新事実が色々とあります。

ドレク症候群の診断について、ロムはベシアのセカンドオピニオンを求めることを勧めますが、クワークは拒否します。
なぜなら、ベシアは料金を取らないから。
クワークに誤診をした医者は、待合室に入るだけでもラチナム2枚が必要なほど、料金の高い医者なのですが、料金が高い医者は偉いという価値基準です。
ベシアは艦隊から給料が出ていて診療は無料なのでしょう。
フェレンギからすれば無料奉仕をする人間は無価値だということです。
お金で全てを判断するフェレンギ人らしい論理です。

また、クワークは自分の体にラチナム500本の値が付いて、最後に勝者として死ねると喜びます。
人間の葬式だったら、お別れに来てくれた人の数が多ければ、慕われていたのだな、と思いますが、フェレンギの場合はあくまでお金ですね。

クワークは、自分が死ぬことになるのに最後の最後までブラントとの契約を守ろうとします。
1つには「契約は絶対に破棄するな、相手がフェレンギ人なら」という掟に従ったもので、適当に見えて実は契約を如何に尊重しているかが分かります。
そしてもし破ると全財産が没収され、商売も禁止されるのですが、お金に関する全てが失われるなら死んだ方がマシ、ということなのでしょう。

結局ディープスペースナインの面々の協力でバーは復活します。
従業員のフェレンギ人たちがどうなったか分かりませんが、少なくともディープスペースナインでの商活動まではFCAも手が出ないようです。
クリンゴンのウォーフは帝国では裏切り者として認定されていますが、クワークの場合もフェレンギ的な価値観で言えば同等の深刻な立場に置かれたということでしょう。
祖国から離れたフェデレーションに居場所を求めるという意味で、2人は結構似ているように思います。


さて、サイドストーリー。
ケイコは妊婦にもかかわらず、ガンマ宇宙域の調査ミッションに出かけました。
同行しているのはキラとベシア。
帰還した船は損傷していました。
なんと隕石と衝突しケイコが負傷、胎児に危険があったため、ベシアの判断により、緊急的に胎児をキラに移すという処置を行ったんだとか。
しかも、ベイジョー人のキラの場合、胎児との血管のつながりが緊密で戻せずそのまま出産までキラの胎内に置くことになってしまうという。。。

なんだか複雑な事情です。
胎児だけを移動するという発想がすごい上に、異星人だから、このプロットを思いついた人はすごいですね。
しかも、今後のマイルス、ケイコ、キラの関係もちょっと楽しみ。

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