少年サッカーでの2審制について

いわゆる4種といわれる少年サッカー(U12)では、8人制競技規則が適用される大会がかなり増えてきているのではないでしょうか。

■競技規則で規定されている審判員の数

サッカー競技規則では、審判の構成は基本は4人、主審・2人の副審・第4の審判員となっています。
大会によってはゴール近くに補助副審を置く場合、ビデオアシスタントレフェリーがいる場合などもありますが、少年サッカーではそういうのはないでしょうね。

8人制競技規則では上記に加え、主審+補助審判(第4の審判員)の2人で行うというものが規定されています。
整理すると、8人制サッカーでルール上規定されているのは

・4審制(主審・副審2名・第4の審判員)
・2審制(主審・補助審判)

の2種類ですね。
市や区が主催する公式大会以外では第4の審判員(補助審判)は省略されることが多く、「3審制」「1審制」と言ったりもします。

ちょっと用語が分かりにくいので、以降、第4の審判員を省略した人数で呼称していきます。
・主審と副審2名がいるパターン → 3審制
・主審はいるが副審がいないパターン → 1審制
・これから話題にしていく、主審+副審1人で両方が笛を持つパターン → 2審制

■副審なしのパターンが生まれた理由

基本的に主審の実で判定する、副審なしのパターンが生まれた理由は、負担の軽減だと思います。
11人制から8人制にしてコートも小さくし、試合の機会を増やそうと思った場合、今までと同じ人数の審判を集めることは結構大変になります。
なので審判も減らして試合を開催しやすくしようという訳です。
選手の人数が減ったから審判も減らしていいだろうという乱暴な発想ではないと、個人的には思っています。

■2審制が生まれた理由

しかしいかに人数が少なくコートも小さいとはいえ、やはり1審制には無理があります。
まずオフサイドはかなり判定しづらいです。
また目が少ないのでファウルの見落としも当然多くなります。
ボールがラインを割った時もどちらのボールになるのか、微妙な判定は見えないことが多いでしょう。

このあたりを解消するために折衷案として生まれたと思われるのが2審制ですね。
イメージとしては主審の権限を持った2人が、3審制で副審が動くエリアに近いあたりを走るというものです。
これにより、基本的に2人で挟んで全体を監視しやすくなり、オフサイドも格段に取りやすくなります。

■2審制の問題点

しかし問題もあります。
2人に増えたといってもやはり3審制よりは目が行き届かないというところが1つ。
しかしもっと大きいのは、「2人の審判の分担がはっきりしない」という点。

基本的には2人の審判は同等の権限を持っています。
おおむね担当範囲も決まっていますのでそのエリアについてはファウルに対して笛を吹くなど積極的に関与していくことになります。

ただどうしても境目ができてしまいます。
試合の中で審判もポジショニングを変えていきますので、基本的にはもう一人の審判の担当エリアと思われる場所であっても、自分の方が近い位置でファウルを目撃するということもありえます。
その時に笛を吹くかどうか、というところでちょっと迷いが生じてしまう可能性はあります。

明らかにファウルなら吹けばいいのですが、微妙でかつもう一人の審判がファウルをとっていない場合、「ファウルでない」という判断も一つのジャッジですので、こちらから吹いていいかどうかという点は考えてしまうときがあるのですよね。

しかも息の合ったコンビでジャッジしているならともかく、少年サッカーの審判は当日初めて合う組み合わせでやることも多いですから、数分は打ち合わせをするにしてもなかなかすぐに呼吸を合わせることは難しいです。

■基本的には自分がファウルと思ったら積極的に吹く

僕のおすすめは、相手の担当エリアと思われるところであって、相手が吹いていない場合でも、自分が自信をもってファウルだとおもったプレーについては積極的に笛を吹くということですね。
吹かないでモヤッとするより良いと思います。

もしもう一人の審判がすべて見えていて、ファウルでないという判定をしていた可能性があるなら、吹いた後にコミュニケーションして、ドロップボールで再開しても良いのではないでしょうか。

2審制は審判負担がそれほど大きくならずに、ジャッジの質も上げられる可能性があり、一見コストパフォーマンスが高いのですが、実際にやる審判としてはやりづらさはかなりあります。
ただ、1審ではオフサイドなどは壊滅的ですので、このへんは痛しかゆしというところですね。

いずれにしても我々審判員としては、常に全力を尽くしたジャッジをしていることが大事かなと考えています。

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